元原子力安全委員会委員のサジ博士の報告で、原発事故の現状は不幸中の幸いだとしています。ガンダーセン氏 が風向きが内陸へ向かっていた場合どうなっていたかを検討します。
フェアウィンズのアーニー・ ガンダーセン です。今日は5月6日、金曜日です。
今日はお話したいことが幾つかあります。すべて原発からの放射能の放出に関連しています。
1つ目は放射能空気中拡散について、2つ目は3号機の爆発について、そして最後に汚染水漏れについてお話します。
最初に放射能空気中拡散についてお話します。私は原発では風が内陸ではなく海へ吹いているのは幸いであったと、新聞で幾度か、そしてテレビでも申し上げて参りました。昨日私はサジ博士からメールで報告書を受け取りました 。サジ博士は元原子力安全委員会委員であり、日本国内でも非常に尊敬されています。この6週間の私の発言について博士は報告書に2つの点を挙げています。1つ目は、"我々は、原発事故全体が進行中、気象条件が有利でとても幸運であった。" 博士は事故が起きてから毎日報告書を一枚書いていますが、同じ報告書のもう少し後に、2つ目を書いています。"我々は、大規模な土壌汚染を引き起こしかねなかった3号機の最も深刻な水素爆発による放射能漏れでも、大変幸運だった。これは、風向きが放射能放出時に海上に向かっていたからである。一方、海の汚染は福島第一から遠く離れた海域まで及んでしまった。" 元委員のサジ博士のこの発言はとても強いものです。しかし私が5、6週間前に既に気づいていた事です。
な ぜこの博士の発言が重要なのでしょう。理由はいくつかあります。まず第一に、チェルノブイリの放射能拡散は内陸だったのと比べると、日本は海上への放射能 拡散が主だったため、本州全域には及びませんでした。もしそうであったら、南北へ走る道路周辺は、幹線道路は除染できても、車外にでたり住む事は不可能に なっていたでしょう。殆どの場合風が海上に吹いていた日本は大変幸運だったと言えるでしょう。
これに関連して世界の原発の会社はもちろんこういった見解を示すでしょう。福島の原発事故は予想に反して死者がでなかった、と。問題は、風が海上に吹いていたことなのです。もう一つの問題は、ウィング博士が1週間半前に議論されたように、ガンの問題は無くなっていないことです。実際、ガン発病の危険性は既に世界中に広がっており、誰のガンが福島原発の影響で、誰のがそうでないかを判断するのは難しいでしょう。事故により、ガンの発病率は減りません。しかし福島原発周辺地域の住民は大変救われました。
もう一つ、 サジ博士が挙げていることは、3号機の爆発が海側に向かい、放射能汚染が遠方の海洋まで広がったであろうということです。これは大変重要な点です。
そこで2つ目の3号機の状態についてお話したいと思います。1週間半前に私は長いビデオ内で発言いたしました。その後で、沢山のEメールを頂きました。大変考えさせられるものでした。メールはすべて幾つかの点で合意していました。まず、間違い無く水素爆発があったこと。しかし水素爆発だけではなかったこと。それから、deflagration(爆燃)ではなく、detonation(爆発)であったことです。興味深いのは、視聴者からの重要な論点ですが、その後見つかっている破片についてです。
第 一に、私は爆発のビデオの詳細分析を受け取りましたが、爆発の炎を見ると、炎は原子炉建屋の右、南側で起こっているのがわかります。炎はそれからさらに右 側へ広がっていきますが、左側にもまっすぐ伸びています。そこは間違いなく核燃料保管プールの場所なのです。なぜならそこが核燃料プールがあるべき場所で あるからです。プールの外壁の損傷をみると、爆発は外壁を押して、上へ向かったのがわかります。一方、内壁は格納容器に隣接していたため外壁より強化され ていたのでしょう、爆発は上へ向かっています。最初の二つのコマを見ていただければ、左側の炎は上へ、右側の炎は飛び出してからさらに南方へ向かったのが わかります。これで燃料プールが爆発したのだとわかります。さらに、水素爆発はこの燃料プールが原因であったのだとわかります。しかし、この水素爆発で原 子炉内の核燃料が外へ飛ばされることはありません。なぜなら、原子炉は深い穴に入っており、水素は空気より軽いからです。ですから、水素ガスが上に溜って いたのであれば、核燃料の下から押し上げて爆発することは不可能だったのです。皆さんの意見は、燃料プールの底で上方向への激しい爆発があったことに関し ては一致しております。が、その原因については異論もありました。私は、燃料のウラン、プルトニウム、ジルコニウムが化学反応を起こして燃料が飛び散って しまったかもしれないと議論しました。これは一つの可能性です。証明には更なるデータが必要です。プルトニウムはウランよりも低い温度で融けるため、原子 炉の底に落ちて溜っているのではないかと考える方もいらしゃいました。
さて、前回私は即発臨界についてもお話しました。ここで幾つかの違いについて少しお話したいと思います。ウラン原子が核分裂すると、核分裂生成物、娘核種、そして2個か3個の中性子が生まれます。ほとんどの中性子は直後に放出され、即発中性子と呼ばれています。時間をかけて放出される中性子もわずかにあり、それは遅発中性子と呼ばれています。通常、この遅発中性子が核分裂の制御に役立ち、原発はうまく働くのです。しかし、3号機で発生したのは即発中 性子だと私は思うのです。プルトニウムはウランとは融け方が違うので、原子炉の底で核爆発を起こした可能性もあると推測する視聴者がおりました。それに は、燃料が底に溜り、さらに完全に溶解した状態でなければなりません。証拠をみるとそうであったかはわかりません。私は、即発臨界はあったが、核爆発のよ うな爆発ではなかったと考えます。中性子は早く動いてはおらず、水中で減速し、臨界は即発であったと同時に減速されていたのだと思うのです。このような反 応は例示した爆発と同規模の力を作り出すでしょう。このような反応は過去に2度程起きています。
一つはアイダホ州のSL-1原 子炉で起こりました。作業員等が制御棒の操作中に、制御棒の火一本が吹き飛んできて作業員の一人に刺さり、そのまま天井に釘付けにしてしまったのです。こ れは即発臨界の例です。過去に起きたように、福島でも起きたのだと私は考えます。私は今もこの見解が正しいと信じておりますが、他にも似通った爆発を引き 起こす激しい反応が燃料プール内で起こった可能性もあります。
3号 機について最後に触れますが、原子炉と格納容器が破損している可能性が未だに残っています。多くの視聴者の 方々はそう考えているようです。私はそうは考えません。なぜなら福島原発の現在のデータはすべて、原子炉と格納容器内の温度と圧力が、ある程度保たれてい ることを示しているからです。激しい爆発反応があったからではなく、今までのデータから判断して、私は格納容器が破損しているとは考えません。
本日の最後に、原子炉からの漏えいについてお話したいと思います。まず、昨日も、5・6号機(1・2・3号 機からかなり離れています。)のタービン建屋の地下から放射性物質を含む水が移送されていましたが、これは、施設の地下水も汚染されているということで す。地下水の汚染は、格納容器の一つが破損しているということです。原子炉に注水されてきた水は、今や格納容器の底に溜っています。ご存知の通り、2号機の 格納容器は破損しています。ですので、汚染水が施設中のトレンチに流失しているのです。私は汚染水の流失が完全に止まったとは思いません。すべての場所か ら汚染水の流失を食い止められるとは考え難いからです。海に向かっている大量の汚染水に関しては止まりましたが、すべての場所から汚染水の流失が止まった との確信は持てません。つまり、汚染水は地下水面に しみ出てしまっているので、施設周辺はこれからも長期間汚染されてしまうことになるのです。地下水は内陸方面へ移動するかもしれません。地下水ですから、 常に海へ流れているとは限りません。はっきりと北へ移動しています。福島の地下水汚染はおそらく原発史上最悪となるでしょう。
第 二に、福島県内で下水処理施設の汚泥に放射能物質が検出された報告がありました。汚染の経緯はわかりませんが、これは明らかに心配な問題です。地下水の可 能性もありますし、雨が降ったからかもしれません。いずれにせよ、これは大変憂慮すべき問題です。この汚泥は建築材料として売られ、県外へ運ばれていまし た。そしてコンクリートブロックとして売られていたものもあるため、追跡調査を行い、回収する必要があります。この問題は注意深く見守っていく必要があり ます。
本日最後に、グリーンピースの船、レインボー・ウォリアーについてお話したいと思います。グリーンピースは、福島原発から12マイル内の海水サンプルの採取許可を日本政府に申請しました。そこは日本の領海内ですが、日本の政府は申請を退けました。
TEPCO東電の情報公開が不十分であることを考えると、グリーンピースが独立したデータを採集できないのはとても残念に思います。
最後に、独立したデータに関してですが、EPA(米国環境保護省)はすでに事故後の屋外放射線量の観測所を閉鎖し、海産物の放射性物質の検出調査もしていません。
私たちが市民として出来ることがあるならば、EPAに福島からの確固としたデータのサンプリングを引き続き行うように、報道会議において要求することです。
ありがとうございました。それではまた。
